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「部屋でじっと休む」だけが休職じゃない! 復職を恐れる公務員を変えた「ナニソレ?」体験とは

  • 6 時間前
  • 読了時間: 19分

メンタル不調は「部屋でじっと休んでいる」だけでは改善しません。ことにガッチガチの常識に埋もれて言葉と人間関係で神経をすり減らし、脳疲労をたっぷり蓄積した公務員には、心の治療だけでなく、身体性の回復(非日常体験)も必要です。一見「ナニソレ?」と思われる挑戦が、たくましいレジリエンスにつながった事例を紹介します。

「部屋でじっと休む」だけが休職じゃない! 復職を恐れる公務員を変えた「ナニソレ?」体験とは


公務員の「休職中の過ごし方」を考える


適応障害やうつ病と診断された休職者のほとんどは自宅療養になります。公務員もそれは同じですが、【ただ休んでいるだけ】では回復しません。それは、公務員という特殊なお仕事と職場環境によって、思考と感情がガッチガチにされているからです。


「役所の常識」という牢屋から脳を解放する

長く働いているあなたにとっては当たり前かもしれませんが、「公務員」には、ほかの職業と異なるご苦労とストレスがあります。


天国か地獄か?異動ガチャ

公務員の最終形態はスーパーゼネラリスト、つまりどんな部署にもハマるマスターピースです。なのでいろんな部署を経験させる、という方便が通じます。予告なしに理不尽に発動する公務員の人事異動は、まさにガチャ。あなたがこの部署に選ばれたのも、あなたの希望が通らないのも、空席のある/なし、ただそれだけ。そして、空席如何で公務員生活は、天国か地獄かが決まります。


業務の負荷や前任者の残務など、地獄要因はいろいろあれど、最大の要因は、上司。ハラスメント気質、責任転嫁型、情緒不安定な上司に当たると、心身への負荷は一気に高まります。


その結果、異動を望みながら異動を怯えるというジレンマから抜け出せなくなります。


減点方式の文化

民間企業では、失敗を挽回したり、帳尻合わせるチャンスはあります(もちろん例外はありますが)。コツコツ成果を積み上げることもできます。このような加点方式で公務員が評価されることがありません


資格試験や運転免許取得と同じように、失敗は一つ一つ減点されて合格ラインから落ちたら「ハイ失格」。受験しなおすことはできても、その場で挽回はできません。


とはいえ、時間内に及第点をめざせばよいのですが、公務員はいつしか「100点満点」や「早い提出」をめざし、過酷な努力を始めます。

これは減点方式の評価で「ミスは許されない」と完璧を求める強迫観念の弊害です。程度の差こそあれ、多くの公務員に強迫観念がみられます。


強烈クレーマーと事なかれ主義の上司

民間企業には「クレームをビジネスチャンス」とポジティブにとらえる文化や風土があります。一方、役所は「何事も起きないこと」が美徳です。怒りや悲しみがまったく理解されないまま「正しい手続きはこうです」と案内されてキレたクレーマーの出現に、事なかれ主義の上司は耳をふさぎます。担当者の役割ですし、解決したところで何の得にもなりませんから。


このように、減点方式と事なかれ主義の土俵で、「公務員は税金で食わせてもらってるんだから住民に仕えて当たり前」という住民の偏見と、「職務専念義務とは、自治体のために滅私奉公すること」という公務員の誤解がぶつかりあうわけです。その結果、公務員の何割かは倒れることになります。


キャリアの足枷

特定の職種や業界での勤務が長期化することで、自由なキャリア選択が心理的、物理的に難しくなることをロックイン効果といいます。公務員は、ロックイン効果が極めて起きやすい職業です。


利益追求しない業務、前例と根回しの文化、お役所言葉によって築かれた自分のキャリアが、果たして民間企業で通用するのか。仮に転職した場合、現在の年収や待遇、安定性を維持できるのか。リスクへの不安が尽きません。そんなキャリア選択の足かせとなる、現状維持バイアスは勤続年数に比例して強まっていきます。


その結果「もう、つぶしが効かない」「定年まで役所に居座るしかない」と自分の人生の展望を真っ暗にしてしまうのです。


認知行動療法の本より早寝早起き

休職した公務員は、主治医の言いつけを守って、家でじっと認知行動療法の本を読んだり、生活記録表をつけたりするはずです。それが悪いとは言いません。が、役所のルール・言語・常識で牢獄につながれたまま、心も身体も回復できず、焦りが生じてくるでしょう。


手っ取り早く、でも確実に牢獄から解放する方法の1つは、身体性を取り戻すこと


職場でのストレスが原因でうつ病や適応障害、パニック症候群を発症し、休職になった場合、最初の数日は寝たきりになるかもしれません。でも、いつまでもそのままでは逆効果です。喉が渇いた、お腹がすいた、入浴(シャワー)したいなどの欲求は、活動量を増やすサイン。朝、起床して、夜は早めに寝るという生活リズムをつくっていきましょう。最初はしんどくても、日中の活動量を増やし、外出して、陽の光を浴びること。心地よく汗をかいたり、身体疲労を感じたりできたなら、回復のリズムに乗れています。


せっかく休職したんだから普段できないことをしよう!

手っ取り早く、でも確実に牢獄から解放する方法のもう1つが、一見ナニソレ?的な体験型アプローチです。


せっかく休職したんです。普段できないこと、やっちゃいましょうよ、思い切って。たとえば、前から興味があった、ちょっとしたチャレンジとか、初めての体験とか、行ったことなかった場所を訪れる一人旅とか、そういうの、いいですね。


なぜなら、この「ナニソレ?」体験、公務員の方の牢獄の壁を気持ちよく破壊してくれるからです。



復職が怖い!20代職員が自信を取り戻したケース


実際に適応障害と診断されて休職に至った公務員が「ナニソレ?」体験を行って復職に成功したケースを紹介します。


「適応障害」と診断は受けたけど……

アキラさん(仮名)は25歳の大学卒業後、新卒でX市役所に就職して3年めの6月、休職しました。初めて面談した時点で、休職から1か月が経過していて、身体的には回復しているけど、集中力が続かない、頭が働かないなど、復職への不安があって、来談されました。X市で一人暮らしですが、週末は電車で1時間ほどの実家で家族と過ごしていました。


アキラさんは、仕事で上司や同僚とのコミュニケーションがうまくとれなかった実感があり、上司から報連相について叱責されるも、上司の満足する方法がわからなかったといいます。そのうち眠れない、ぼーっとするなどの不調が現れます。あるとき、業務で公用車を運転中に自損事故を起こして病院を受診したとき、適応障害の診断を受けました。


休職中、家にいてもやることがなく、自己否定的な気分にとらわれて焦るばかりで、自分で何をしたらいいかわからない状態でした。


生活リズムとアイデンティティの再構築

アキラさんの生活のリズムは昼夜逆転ほどではありませんでしたが、遅寝遅起きだったので、まず、市役所へ出勤しているときの起床・就寝時間と同じにして、日中に行うカリキュラムをいっしょに作りました。好きなことやもの、趣味についてうかがい、できるだけそれに関わることを習慣づけます。


ナニソレ?的な体験型アプローチ01|一般社団法人リアルトレジャー

たとえば、体調が悪くなる前はフレーバリーティーに凝っていたというので、X市内でショップ巡りをしてもらい、実家近くのスーパー銭湯が好きというので、週末は実家からの数kmのウォーキングで通ってもらいました。これらは、「自分は何者である」というアイデンティティを体感することで、少しずつ持ち直してもらう行動です。


またコミュニケーションの不安については、リワークプログラムを実施している医療機関を紹介し、通院・参加を開始しました。

医療リワークは健康保険適用で利用しやすく、おすすめです。集団での訓練により、社会性スキルの回復・向上を図り、同時に、生活リズムを整え、活動量も増えます。自分のキャリア・アイデンティティと集中的に向き合う、個別のカウンセリング/キャリアコンサルティングとの併用は効果的でした。

脳を解放した「ナニソレ?」体験

集団でのリワークプログラム、プライベートで自分に向き合う習慣を始めて1か月経過した頃、「実は自転車好きで、結構高いクロスバイクを購入したけど、しばらく乗ってない。最近乗ってみようかなと思って」とアキラさん。それはいいね!と絶賛しました。


河川敷など自転車で走るようになって、だいぶ回復を実感できるようになると、アキラさんの活動範囲はさらに広がり、表情も明るくしっかりしてきました。9月に入って、復職に難色を示していた主治医も「そろそろ、よいのでは……」という話になり、職場の上司とも復職に向けての面談が始まりました。


ナニソレ?的な体験型アプローチ02|一般社団法人リアルトレジャー

アキラさんが行ってみたいという好きな作品にまつわる公園の話を聞いたのがこの頃。「それならクロスで行ってみては?」と提案しました。「えっ!? ナンですか、それ?」と何を言い出すんだと言わんばかりのアキラさんを、行くなら今!復職しちゃったら、なかなか行けない。疲れてリタイアしても心配ないよ、輪行(電車で移動)すればいいから」と励まします。すると、もし行くのならあそこも寄りたい、この道を走りたいなどと話は尽きることなく、いっしょにルートを検討に入りました。最終的に、寄り道スポットも入れると往復200km近くの遠征になりました。


まだ残暑厳しい9月下旬、1泊のサイクリングツアーに出かけたアキラさんは真っ黒に日焼けして往復とも愛車で駆け抜けてきました。「おかげで脚がパンパンですよ!」と恨み言とともに、たっぷりのおみやげ話を披露してくれたアキラさんは、10月、元気に復職し、今日まで再発されていません。



「ナニソレ?」体験が変化を促すワケ


え? これのどこが復職支援なの? ただの旅行じゃないか! と思われるかもしれません。しかし、これには意味があります。


前提条件として、

  • 本人の意欲があること

  • 主治医の方針と矛盾しないこと

  • 急性期ではなく、課題に対応できる体力が戻っていること

  • 安全性が確保した設計(失敗しても戻れるなど)にすること

このような点を慎重に考慮する必要があります。


①身体感覚で反芻の遮断

「自分は何者なのか」

わたしたちは必死に考えようとします。そんな思考の末、メンタル不調者は「なぜああしなかったのか、こうしなかったのか」「もっとできたはずだ」と自分を責めます。考えることは大切ですが、答えが出ない問題を考え続けた末、待っているのは苦痛だけ。


思考の失敗です。


この問いを感覚に預けると、より楽しく喜ばしいものになります。


  • 景色が目に飛び込んでくる

  • 風が肌を撫ぜ、髪を揺らす

  • 鳥のさえずりに耳を傾ける

  • 土や草、花の匂いが鼻腔を満たす

  • 空腹や疲れに気づく


こうした身体感覚によって「自分が何を好む、何を選ぶ者であるか」が明確に意識できるようになるからです。

自分を責める思考の暴走、とくに、頭の中でくり返し再生されて、断ち切れない自己否定的なぐるぐる思考を反芻といいます。アキラさんの「自己否定的な気分にとらわれて焦るばかりで、自分で何をしたらいいかわからない状態」がこれです。

ことに公務員の場合、減点方式、前例と根回し、お役所言葉といった独自のルールでがんじがらめの職場で強固な自己否定感や罪悪感、無力感が刻みつけられます。また、こうした職場での苦労が理解されづらく、精神的孤立に陥りやすいことも公務員のメンタル不調をこじらせる大きな要因になっています。


反芻は脳の特定領域の過活動によって起こります。寝ているだけ、家で休んでいるだけでは、脳の過活動=反芻は止まりません。これを正常化する刺激を与えたのが、フレーバリーティーのショップ巡りに始まり、200kmサイクリングに至る身体性を取り戻す活動です。

ペダルを漕ぐ、景色・風・音・光・温度・香りを感じるといった強烈な身体感覚は、反芻から意識を切り離すスイッチになります。こうした体験を可能にするうえで、体力=身体性の回復が欠かせません。だから、早寝早起きをして、日中活動量を増やすことが大切なのです。


②成功を暗示する応援

実は「ナニソレ?」体験の背景には、現代催眠の理論を取り入れています。それが、思考と感情をのびのびと広げ、成功体験によって自分への肯定的な思考や元に戻る力(レジリエンス)につなげる工夫になっています。


役所の強固なルールや理屈に支配されている公務員は、多くの場合、言語的なアプローチに対して、かなりの抵抗を示します。治りたい気持ちは真実でも、治療的効果がありそうな提案を疑い、否定し、ときには拒否します。こんな抵抗を迂回するために、一見「メンタル不調とはぜんぜん関係ありませんよ」という課題に誘うのです。アキラさんのフレーバリーティーのように手が出しやすくて届きやすいものから。


ちょっとずつ課題を大きくしながら、200kmサイクリングツアーに挑戦してもらうときは、「どっちに転んでも失敗はない」というプラスの暗示をかけて応援しました。200kmを走り切った成功体験によって、アキラさんは再び自分を信じはじめました。脳に染みついた自己否定感を消し去り、「自分ならば目標を達成できる」という自己効力感を深く刻みつけたのです。


③リフレーミングでレジリエンスを発動する

民間企業では目標やノルマ、自己成長などスリリングな変化に満ちています。「事なかれ主義」が美徳で、前例が重んじられ、ルーティーン化した役所での活動は変化がなく硬直化しています。そこでリフレーミングが必要になります。

リフレーミングとは認知の枠組み(フレーム)を心地よく変えたり、壊したりすることです。それによって、固定観念の枠から飛び出して、物の見方が変わったりする、魔法が解けたとか、憑き物が落ちたとか、解毒されたという状態になります。

リフレーミングで枠組みからはみ出すことで、逆境や困難を超えるレジリエンスが発動されます。 かなり頑強な枠組みによって固定化された公務員をはみ出させるためには、相当強い刺激が必要になります。「えっ!? ナンですか、それは?」という意外性や非日常体験を用いるのはそのためです。その結果、アキラさんは根本的な物事のとらえ方を肯定的に変えて、職場復帰に至る真のレジリエンスを獲得しました。家でじっとしているだけではリフレーミングは起こりませんし、レジリエンスが育まれることもありませんでした。

逆境や困難を乗り越え、本来の自分を取り戻す回復力をレジリエンスといいます。これは「折れない屈強さ」ではありません。どんなに堅い樹木の枝も雪の重さに耐えかねて折れてしまっては意味がありません。柳や竹のように折れずに柔らかく曲がって耐え、その弾力性で戻るしなやかな順応性のことです。

レジリエンスは「元気だった頃に戻ること」だと思われがちですが、そうではありません。回復後のあなたは、元気だった頃に加えて、逆境や困難にへし折られなかったという実績をつけたあなたです。元気だった頃を上回る、英知としたたかさを身に着けた人に進化します。進化したあなたは、当然、現場復帰後に「倒れない働き方」を実現できるはずです。


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公務員が陥りがちな3タイプのメンタル不調者

心が折れて、適応障害やうつ病と診断される公務員の方は、大きく3タイプに分かれます。それぞれの特徴と回復のヒントをまとめました。


タイプ①緊張で神経衰弱する過剰防衛型


タイプ①緊張で神経衰弱する過剰防衛型

失点は許さないと全方位的な守備に命をかける人です。堅実性や実直さ、用意周到さで信頼されます。このタイプのほとんどは、過去の失敗への戒めから防衛本能が過剰に強化された人、あるいは、強迫観念によって職務専念義務を完璧に果たそうとする人のいずれかでしょう。天然の防衛タイプであれば、メンタル不調にはならないので。

守備範囲が広いため、持ち物は増え、あれもこれも「ないと不安」になってしまう。安心感と引き換えに、不安材料も増やしています。しまいには、まだ起きていない未来の出来事まで心配し、不安が止まりません(=予期不安)。

 あなたのリフレーミング あると便利=なくてもいい」ものです。代用・妥協を覚えましょう。100点満点をめざすのは今すぐ止めてください。適切な目安は、50%の力で60~70点です。あなたの能力をもってすれば必ず実現できるはずです。

タイプ②攻撃をモロに被弾する無防備型


タイプ②攻撃をモロに被弾する無防備型

優等生とか生徒会長とかわかりやすい「いい子」タイプ。もともと育ちがよく朗らかでひねくれてない人が多いです。「どうして私ばっかり」と泣いていないことを祈ります。なぜなら、クレームやハラスメントのターゲットになると無防備に被弾してノックアウトという悲劇に遭いやすいからです。いい子ではあるのですが、人間関係における距離感や境界が曖昧で、気づいたときは危険水域だったりします。フラットな公務員の世界への適性はありますが、外の世界への認識や理解が浅く、悪意や理不尽さに直面すると為す術がありません。その結果、心が折れてしまいます。


 あなたのリフレーミング  職場では、ファイティングポーズをとります。ガードは上げて。意味がわからない場合は身体接触を伴うスポーツ・趣味がおすすめ。格闘技、ダンス、サッカー、バスケットボール、ラグビー、園芸、陶芸、アートセラピーなど。

タイプ③感情と身体性が失われる解離型


タイプ③感情と身体性が失われる解離型

前述のアキラさんがこのタイプ。周囲の期待に応えたい、組織に貢献したい、社会の役に立ちたいといった貢献欲求が強い人です。自分を組織の意向やあるべき論に合わせすぎ、滅私奉公してしまう傾向があります。その結果、職場への過剰適応したり、あるいは抑圧を強いられ、疲れているけど何に疲れてるのかわからないといった心と身体の分離(解離)が起こり、自分の価値観や意欲を見失ってしまいます。感情も思考も停止して、現実感が希薄な状態です。アキラさんも、事故の記憶はあっても、自分が起こしたという認識やそのときの感情は曖昧でした。


 あなたのリフレーミング  好きな/好きだった物・人/団体・場所・作品を一つでも多くリストアップしてください。それにかかわる活動を習慣づけます。「自分は何者である」というアイデンティティーの再構築につながります。


しなやかに強くなる公務員のキャリア自律

強固な枠組みのなかで、公務員が組織に流されずに自らのキャリアを選択し、創造していくことは困難が伴うことも多いでしょう。でも、あきらめて、失望するのは早すぎます。公務員には公務員のやり方のキャリア自律があります。


職場復帰支援制度を賢く正しく活用する

休職中のあなたにとって、キャリア自律の第一歩は復職です。

残念ながら、変化が好まれない役所では、環境的配慮がまったくなされないことも珍しくありません。そんな公務員の復職をソフトランディングさせるには「職場復帰支援制度」の賢く正しい活用が要になります。


ゆっくり、でも確実な復職のために、職場復帰訓練(ならし勤務)があります。主治医と相談して、休職者が主体的にスケジュール案を決定して実施します。信頼できる主治医とタッグを組んで、慣らし勤務の制度を活用すること。これが絶対条件です。


ならし勤務開始のタイミングは、休職中です。復職初日の緊張やストレスをなくすだけでも意味があります。何しろ、休職中なので無理は言われません。8時半に出社して着席して帰れます、訓練ですから。ならし勤務期間は通常の給与は支給されず、休職手当が支給されます。その点でも復職後に始めるのは遅いし、悪手でしかありません。期間は国家公務員で1か月、地方公務員は自治体によって1~3か月で、いずれも2週間の延長が認められています。最大限に使いましょう。


ならし勤務のスケジュールの目安は出ていますが、安全に職場に復帰・適応できるおすすめのぺースをまとめました。たとえば3か月休職予定なら、後半の1か月半はならし勤務に充当するイメージで、ゆっくり職場への適応をめざします。

◆第1段階:職場への顔出し (1~2時間程度)

1週目

月・水

8:30~9:30

8:30~10:30

◆第2段階:職場に慣れる (半日程度)

2週目

月・水・金

8:30~12:00

3週目

月・火・木・金

8:30~12:00

◆第3段階:職場に慣れる (半日以上1日未満)

4週目

月・火・木・金

8:30~15;00

5週目

月・火・木・金

8:30~17:00

◆第4段階:通常勤務に慣れる(1日)

6週目

月・火・木・金

定時出社・定時退社

時間拘束は想像以上の負荷がかかります。週中の水曜日をお休みにするのがおすすめ。疲労の蓄積を解消できますし、何より「2日行けばお休みだ」という精神的余裕がポジティブな結果をもたらします。


再発予防の転ばぬ先の杖として、ならし勤務後、職場復帰にあたって提出する主治医の意見書にも、医師と相談して「経過観察のため、〇か月は□□□□□□□□が望ましい」のような文言を入れてもらうのがおすすめです。

□□□□□□□□部分:「週4日勤務にする」「〇曜日は在宅勤務にする」「8:30~XX:00の時短勤務にする」「残業不可」など。

誰かに決められるのでなく、復職者自身が主体的に意思決定する復職プログラムを実現してください。


キャリアの優位性を再確認する:構造・選択・運

公務員の方がキャリアを考えるとき、どうしても「公務員は潰しが効かない」「明るい展望がない」「辞めたくても辞められない」「ここに居続けるしか道がない」といった危機的な状況に行きつきます。

復職後でも、精神的な余裕があれば休職中でもいいのですが、思い出してほしいのです。今のあなたの「公務員」というキャリアの優位性を。


公務員のあなたには、公務員試験を突破した実力があります。公務員になる選択をしたうえで、高い倍率の中、選ばれた運もあります。たしかに、メンタル不調に陥りましたが、それは構造上の問題であって、あなたの弱さでも瑕疵でもありません。

同時に、その業務構造から、住民サービスや業者との調整能力、公文書のドキュメンテーション能力コンプライアンス能力コスト意識リスク管理能力などなどのスキルを身に着けてきました。これらは、どこでも通用するポータブルスキルです。また、恵まれた福利厚生職場の安定性といった構造的優位性もあります。

あなたは優位な選択をし、運を味方につけてそれを手に入れたのです。


公務員のあなたは、すでに最強のリソースを手にしています。アキラさんは「ナニソレ?」体験で自己効力感を再認識し、真のレジリエンスを発揮したように、あなたもご自身のキャリアの優位性を持ち直すことが、真のレジリエンスを発動させるスイッチになるのです。


公務員こそキャリア自律が必要

今、休職中の公務員の方の中には


  • なぜ休職したのか?

  • なぜ耐えられなかったのか?

  • なぜ異動願いを出さなかったのか?

  • なぜ転職しないのか?


と自分の選択ミスを過剰に責めているかもしれません。それはただの反芻で、事実ではありません


今のあなたには見えないかもしれませんが、あなたが思っているより、ずっと多くの選択肢を、あなたはすでに持っています。


前述のとおり、あなたのキャリアには優位性があります。成功と自己実現に通じる多種多様な道があります。そして、回復後のあなたは、元気だった頃からさらに進化したあなたです。転職でも副業でも出世でも、好きな道を選べるでしょう。


ただし、ことに公務員の方に注意していただきたいことが1つあります。キャリア自律とは、辞めること=転職力ではないということです。もっとも重要なこと、それは、


自分の道(キャリア)を決めるのは自分

異動になっても

クレーマーが来ても、

理不尽な上司に当たっても、

誰にも自分の人生のハンドルは渡さない


ということです。

復職は、キャリア自律のレッスン1です。身体性を回復させ、信頼できる主治医とのタッグで、ぜひ成功してください。リアルトレジャーは、いつでもあなたを応援しています。


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