アダルトチルドレンの人生設計プログラム「自分の人生を取り戻す5つのステップ」
- 大野 文子
- 3月17日
- 読了時間: 7分

アダルトチルドレンの方のケースは困難で、試行錯誤の連続でした。そんな中で生まれたのがリアルトレジャー独自のノウハウ「自分の人生を取り戻す5つのステップ」です。ここでは、AC/ACEsカウンセリングで行う「5つのステップ」が生まれた経緯、内容、通常のカウンセリングとの違いなどについてまとめました。
ステップ0-1 目的は「自己理解を深める」
アダルトチルドレン(AC)のカウンセリングを始めた当時、カウンセラーとしてショッキングが現実を突きつけられました。それは、心理カウンセリングの基本とされる受容と共感は、ACに対してまったく効果が出ないということです。
基本の受容と共感は逆効果
カウンセラーが落ち込もうが、苦労しようが、ご相談者様がお楽になってくださればいいのですが、結果は逆。落胆させたり、混乱を招いたり、ときには怒りを買うことすらありました。ACのご相談者様で、過去にカウンセリングを受けて「理解されなかった」「批判された」「トラブルになった」など、カウンセリングやカウンセラーへのネガティブな体験を訴える方も珍しくありません。よくなるためにカウンセリングを受けて、苦しむのでは元も子もありません。心理カウンセリングの教科書よりも、ACのサポートが優先です。
自分の現在地を知る
では、何が必要なのか? 何人もの方との面談を経て、「アダルトチルドレンは自分の現在地がわかったとき安心する」ことがわかりました。ご自分に何が起きて、どのようにしてここに至ったのか、なぜこんな不都合が自分に起きているのかーーそれが明らかなると、ほとんどの方は「ああ、そうだったのか」と納得さます。
実際、来談されるACの方は共通して、「アダルトチルドレン」「毒親」「機能不全家族」「トラウマ」「PTSD」などについてよく調べ、よくご存じです。しかし、それでも納得できず、受け入れがたいご自分の不都合に苦しんでいます。
リアルトレジャーでは初回~初期は「自己理解を深める」目的でセッションを行います。育成歴について傾聴するのもそのためです。同時に「リソース探し」も行います。そのうえで、ご自身に何が起きて、どういうわけで今の不都合につながっているのかについて解説します。
初回セッションのあと、もちろんこの時点で問題が解決するわけではありませんが、理由もわからず制御もできない不都合の正体をつかむことで、落ち着くことはできるようです。
ステップ0-2 「自分のせいでも事実でもない」という気づき
メンタル不調にせよ、人間関係のトラブルにせよ、ご相談者様がアダルトチルドレン(AC)のケースのほとんどは、問題が長引き、複雑化しています。それは、こうしたACの特徴が解決を遠ざける要因になっているからです。
高評価されていても自分の能力や才能を認めない
過剰な努力や仕事量を自分に課す
人間関係のトラブルで「被害者」になりやすい
やりすぎ/やらなさすぎの人間関係
他人が怖い、周囲に対して疲れるほど気をつかう
何かに絶望していたり、将来に悲観的
自分を大事にできず、自暴自棄になる
このようなさまざまな不都合を抱えたのは、育成歴によるもので、ACに何一つ罪はありません。すべて親や家族に刷り込まれたことで、事実ではないのです。しかし、AC自身は、それを知りません。
ここに気づくことが「5ステップの序章」トラウマケアの初歩になります。
たいていのACの方は「頭では理解できる」と言います。けれど、心や身体が納得していません。そのため、自分への尊厳感情を抱けず、ひどい目に遭って、虐げられて「当たり前」で「幸せになってはいけない」と考え、行動してしまうのです。
「自分は悪くなかった、この考えは事実でない」という気づきを経て、トラウマ体験当時の自分の無力さをともに悲しみ、慰め、労わる作業、トラウマケアが可能になります。トラウマケアを行うことで、制御不能な不都合な特徴や自己否定的な感情は自然に修正されていきます。自分の人生を自由に意思決定することも、自分の才能、能力、個性を自分の望む方向に伸ばしていくこともできます。ACが心の底から望みながら、許されないと思う「親を捨てる」という選択さえ、合理的に判断、実行できるようになるのです。
ざっくり紹介!「自分の人生を取り戻す5つのステップ」
「5つのステップ」は、アダルトチルドレン(AC)が自分の人生を自主的に意思決定していくと決意して(この時点ではまだ刷り込まれた信念に支配されています)、セッションを進めていくそれぞれの段階での到達指標です。自分の心と意識、行動、認識を確認して「このステップはできている」「このステップは課題になっている」と理解すること、そしてその段階での課題に必要なワーク・療法を行うことを目的としています。
はじめの3ステップ
ステップ0の自己理解を深め、トラウマケアを進めていきます。トラウマ体験との向き合い方は暴露だけではありません。その方に合った方法を探しながら、トラウマを処理し、癒していきます。過去の自分をなかったものにするのではなく、安全で有効な活用のしかたを学びます。そのなかで、ご自分の心と意識、行動、認識のレベルを確認していきましょう。
どのステップから始めてもかまいません。「これはできている」と思えるステップや、一人でも考えても苦にならないステップがあれば、そこからが始めやすいでしょう。
ステップ1 人生は自分のものと気づく
人生を自分で決めていい、思いどおりに歩んでいい、と確認するステップです。ACは幼い頃から、親のため、家のために自分を捧げて生きてきました。多くの禁止令によって、やりたいことをさせてもらえず、何事も親に決められてきました。自分の意思の所在を確かめ、自分が本当にやりたいことを自由に選ぶことを学びます。
ステップ2 体験を正当に評価する
ACが毒親だと気づくのはその仕打ちが普通でないと知るからです。その体験、不満や怒り、悲しみを語ることはできますが、恨みつらみを募らせがちです。このステップではその体験を正当に評価していきます。どんな過不足や理不尽さがあったかをニュートラルな視点で振り返り、そうなった事情、現在まで及ぶ影響などの事実を理解します。
ステップ3 毒親から離れる
離れることで毒親の影響を受けることを避け、最終的に遮断するステップです。①物理的(距離、時間)、②心理的(毒親から与えられたルールや信念、毒親への依存)、③社会的(人間関係や家庭外での活動)、④経済的に親から離れることで、自立を確かなものにしていきます。
仕上げの2ステップ
自分のアイデンティティを再構築し、社会性を新たに育んでいきます。この2つは、「はじめの3ステップ」ができてからでないと進めない、上位のステップになります。簡単に思えるかもしれませんが、ACにとっては克服の難易度は高いステップです。逆に言えば、ここまできたら、だいぶ自分の人生を取り返している証拠です。それをより確かなものにして、「生まれてきてよかった」と心の底から思える人生にするための、総仕上げになります。
ステップ4 自分を許す
ACは幼少期から毒親や家庭から自己否定的な感情や罪悪感を刻みつけられます。愛されないのは、生まれてきたのは、親が苦労しているのはすべて「自分のせい」と信じ込まされています。そのため、ACは懲罰的です。自分を罰すること、否定することをただちにやめます。自分を承認すること、肯定的に評価すること、親や家族と無関係に自分が幸せになることを許します。
ステップ5 自分の人生を楽しむ
長い間、許されなかった安らぎ、リラックス、喜びや楽しさを解禁して、のびのびと自由を謳歌することを学んでいくステップです。自分の楽しみ・好み・喜びについてしっかりと把握し、取り返した人生を何をどんなふうに楽しんでいくのか今日から実現できる具体的なプランを立てて、実践を重ねていきます。
だから新しい自分の人生を切り拓ける!
はじめの3ステップで、自分の人生を取り戻していく過程では次のような気づきがあります。
今の自分がどこにつまづいているのか
今の自分は何ができているのか
本当に自分が望んでいることは何なのか
本当に自分がイヤなことは何なのか
これらを理解したうえで、仕上げの2ステップでしっかりした自分軸を構築していきます。これらを獲得していくことで、意思決定において、二度と毒親の影響を受けることはありません。
自分の居場所
「自分は何者である」というアイデンティティ
正しい他者理解と人間関係の度合い
人生の満足度/充実度の尺度
生き方の修正点と目標設定
そのとき、あなたは自分の意思で自分の人生を設計し始めているはずです。
最終的には、人を好きになり、信じられる健全な人間関係を取り戻し、社会や組織に「受け入れられている」「自分の居場所がある」と実感できる地点をめざします。そこはあなたの新しい人生のスタート地点。そこまでをリアルトレジャーが伴走します。
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