アダルトチルドレン(AC)ピエロの特徴と自分を取り戻すステップ
本音を知られたら、きっとよくないことが起こるはず。だからピエロは恐怖も怒りも悲しみも、笑顔の仮面で隠してきました。
[clown]ピエロ/道化役
道化師・マスコット・ムードメーカー
英語で大道芸の道化師を意味するクラウン(clown)はピエロのこと。かわいらしく、あるいはひょうきんに面白おかしく振る舞うことで、機能不全家族の張りつめた空気を和らげる【ムードメーカー】の役割を必死に演じる。ピエロのメイクと同様、この子の笑顔の裏には涙が溢れている。
ピエロの毒親
不穏な空気を感じたとき、勇敢に最前線にくり出すピエロは機能不全家族を守る笑顔の盾です。両親の険悪な表情を見て取れば、すかさず、かわいらしい仕草や面白いネタで笑わせる役割は、幼い子にとって最初は怖かったに違いありません。ピエロは争いや揉め事、沈黙を何よりも恐れます。それに演じた結果、逆鱗にふれるなど、さらに恐ろしい局面を引き起こすリスクもあります。
それでも演じなければいけないのは、ピエロに「かわいくない(おもしろくない)子は嫌われる」「自分が笑わさなければ、家族がバラバラになる」という恐怖を両親、あるいは年長者が植え付けたから。だから、心は涙で溢れていても、笑顔の仮面をつけて、必死で演じるのです。そんなピエロを「ほら、○○ちゃん、アレやって!」と、両親が便利に使うことがやがて習慣になるでしょう。スランプも失敗もピエロには許されません。
→【毒親タイプ支配型】
→【毒親タイプ虐待型】
ピエロの特徴
ピエロは、この家族が空中分解しないための、一時的な接着剤です。しかし、機能不全家族のメンバーは問題に向き合うピエロの勇敢さを持ち合わせていないので、ピエロは一時しのぎをずっと続けなければいけません。
いつも笑顔を絶やさず、嫌われないように細心の注意を払い、やさしく気が利く愛されキャラでいることを求められます。不機嫌だったり、具合が悪いことは許されません。おかげで完璧な処世術を身につけます。24時間365日笑顔の仮面を外すことなく、競争や議論を安全に回避し、中心的グループにいながら、リーダーにはならず、人から妬まれない程度の人気と成果を得ます。丸く収めることが第一なので、優柔不断さや風見鶏、長いものに巻かれる面は否めません。イジワルな見方をする人から「八方美人」「世渡り上手」とレッテルを貼られることもあるでしょう。
ピエロの人間関係でのバランス感覚は、まさに綱渡りです。残念ながら、落下する危険性もあります。恐怖や緊張に耐えきれないとき、過去のストレス体験がフラッシュバックするとき、笑顔の仮面は粉々に砕けてしまうのです。
ピエロの心のキズ
「いつも笑っていなければ人に嫌われる」「嫌われたら敵になる」「争いが起こる、争いによって人間関係がバラバラになる」。この恐怖と立ち向かい、心で泣きながら笑顔をつくるピエロの心は休まることがありません。
悲しみや恐怖を表現することはタブーであり、「どんなにつらくても笑っていること」を自分に課しています。しかし、内面には、オープンにできない悲しみ、恐れ、憤り、さらに誰にもわかってもらえない孤独も溢れています。
ピエロを癒すために……
アダルトチルドレンが機能不全家族で演じなければならなかった役割によって、どんな心の状態だったか理解することが大切です。
ピエロの「丸く収めたい」という信念を、緊張感と恐怖で崩壊させないためには、笑顔の仮面を外す時間をつくること。笑っていることで避けている恐怖や悲しみ、怒りといった感情に向き合うこと。自分をそうした感情が湧くことを許してあげること。「あのとき悲しかった」「あのときムカついた」と認めてあげること。
笑ってなくてもいい自分の時間が長くなれば、無理に笑い、緊張して疲れていたことに気づくでしょう。そして「笑っていなくても、わたしはわたし」ということも。無理に笑顔を装う必要がなくなれば、安全に笑顔の仮面を外すことができるでしょう。
抑圧された感情が少しずつ解放され、癒されることで自己奪還のプロセスが進んでいきます。
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