アダルトチルドレン(AC)ロストワンの特徴と自分を取り戻すステップ
ロストワンは耳をふさぎ、目を閉じ、息を殺し、じっと待つことを誰にも教わらずに覚えました。幼い子が自分を守るにはそれしかありません。
[lost one]ロストワン/不在役
役割:いない子・迷子・隠れる子
物陰にじっと潜むロストワンは、家族の目から消えている【忘れられた手のかからない子】。家族のメンバーの主張に従い、自分は意思表示せず黙っている。揉め事の尽きない家庭で波風を立てないように、迷惑をかけないように、そして、家族からの被害にも遭わないように孤独を選んだ。
ロストワンの毒親
機能不全家族にとって、ロストワンほど都合のよい存在はありません。本来、親(大人)には育てる・守る役割、子どもには成長するという役割がありますが、親がこの役割を放棄(ネグレクト)したり、病気や不在で不可能なとき、家族の負担にならない子、ロストワンがつくりだされました。幼少期、養育者が次々に変わるという経験をした夏目漱石や、幼児期に両親を立て続けに亡くした川端康成は、愛着障害に苦しんだとされます。彼らの体験した両親の不在もロストワンは生みだします。
過干渉型の親、またはきょうだいなど他の家族のメンバーからの過干渉や虐待を行う家族で、ロストワンを演じる子も少なくありません。両親のうちの片方、あるは他の家族のメンバーが守ってくれたなら、こんな決断をせず済んだことでしょう。無力な親が子どもを守らなかった結果、ロストワンは孤独の防衛を始めたのです。
→【毒親タイプ不在型】
→【毒親タイプ支配型】
→【毒親タイプ虐待型】
ロストワンの特徴
通常、子どもは自分の存在をアピールすることで生きています。ロストワンは逆に甘えたい、慰められたい、愛されたいといった感情を封印しました。いかに注目されず、いかに波風を立てずに生きるかがロストワンの命題です。
ネグレクトや両親不在のロストワンは孤独の中で涙はもちろん嗚咽すら漏らさず、虐待や過干渉から身を守るロストワンは緊張のカモフラージュに徹していました。このため、ロストワンは自分の意思や感情を言葉で表現することを好みません。周囲からは「クール」とか「何を考えているかわからない」と思われがちです。しかし、親の顔色をうかがったり、危機を察知する感受性には優れています。さらに、孤独を楽しむ術を幼い頃から身に着けてきました。空想はいつしか文芸、アート、手芸、クラフトなど創作活動の才能となります。言葉以外の表現手段を持ったロストワンはこの作業に粘り強く打ち込むことでしょう。
職人や芸術家に見られる、こだわりや頑固さが形成されるのも無理はありません。無口ながら、迎合や妥協を許さない姿勢は、人づきあいの難しさにつながるかもしれません。
ロストワンの心のキズ
自分の存在感を消し去り、気持ちを伝えることを封印したロストワンには「守ってもらえなかった」という深い失望があります。「ただ、そばにいてほしい」という願いすら叶えられませんでした。
さらに「怖いものから守ってほしい」「怖い思いをしたから慰めてほしい」と望んでも、それは諦めるしかないと学習した結果、人に興味を持たない(持つのが怖い)、人が怖いと恐れ、親密になるのを避ける回避型が多くみられます。
ロストワンを癒すために……
アダルトチルドレンが機能不全家族で演じなければならなかった役割によって、どんな心の状態だったか理解することが大切です。
どんなに人づきあいが苦手であっても、社会生活を送る以上避けることはできません。ロストワンは人間関係の中で、周囲の顔色をうかがい、気を使いすぎて疲労困憊。そんなロストワンにとって何よりの回復と休息の時間は、安全な場所で一人でのびのびと過ごすこと。
そして、「疲れた」「助けて」「守って」と吐き出せる相手を見つけること。話すのが難しければ、テキストメッセージを送ったり、画像や写真を加工して表現するのもいいでしょう。そうしたコミュニケーションを通して、人と親密になっても「誰もが自分を裏切ったり、見捨てたりするわけじゃない」と、ゆっくり学んでいくこと。
抑圧された感情が少しずつ解放され、癒されることで自己奪還のプロセスが進んでいきます。
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