不在型毒親:条件付きの愛情を利用して親の責任を果たさない育児放棄(ネグレクト)する親
愛情や安心感で満たし、衣食住や健康を保障するといった成長する子どもへの責任を放棄(ネグレクト)して、自己都合を優先する毒親です。親の手を煩わせず、一人でいることを子どもに求め、突き放します。
「子どもの自立を促す」といった教育方針などでは決してありません。家庭外での自己実現、あるいは現実逃避で頭がいっぱいで、子どもに手が回らないのです。子どもは拒絶する親から愛を得ようと懸命の努力しますが、報われることはまれ。毒親が「条件付きの愛情」で見返りを求めるときしかありません。
愛情は子どもを動かすリモコン 「大好きよ、手伝ってくれるわね?」
不在型毒親の特徴
不在型の毒親の最大の関心事は、あくまでも自分自身です。仕事や趣味、宗教やボランティアなど家庭外での社会活動に余念がありません。あるいは、自分の病気やほかの家族の介護や看護に追われ、弱さや不幸を嘆いています。いずれにせよ、子どもにかける時間も心の余裕もありません。むしろ、目の前の問題やストレスから、逃げることだけを考えています。
そのため、多忙さなど大人の都合を言い訳にして、親の育児責任を放棄します。愛情や承認を与える子どもの精神的ニーズ、ときには子どもの衣食住や健康・安全を守る身体的なニーズさえ、応えようとしません。「親はなくとも子は育つ」の意味を完全に履き違えています。
その結果、子どもが事件・事故に巻き込まれることも少なくありません。子どもが悩みを打ち明けても、「困ったわね。あら、たいへんもうこんな時間! またあとで聞くわ」と取り合わないか、「お母(父)さんに話なさい」とたらい回し。
子どもに被害に及んだときでさえ、不在型の毒親は子どもへの無関心を貫きます。家族、あるいは外部の誰かが子どもを虐待しても、見て見ぬふりをし、ときには「お前に落ち度があった」と子どもを責め、加害者を庇いだてさえします。
そんな不在型の毒親が、子どもにやさしく声をかけることもあります。もちろん、子どもの話を聞くためではありません。「○○をしてちょうだい」と家事や労働など負担を肩代わりしてもらう、または、自慢や苦労話、愚痴や不満を子どもに聞かせ、子どもに慰め励ましてもらうため。子どもを親の身体的ニーズや精神的ニーズを満たす道具にしているのです。子どもが毒親から与えられるのは、しょせん「条件付きの愛情」でしかありません。
子どもは親の幸せを邪魔してはいけない
不在型毒親のマインド
親の人生がすべて、子どもはおまけ 子どもは親のことを理解するべき 面倒ごとで親の邪魔をしてはいけない
親がなくても子は育つ たくましく育てるため子どもに無駄な手はかけない
愛されたければ親をサポートすること ただし子どもは自分の問題を自分で解決するべき
不在型の毒親は「親の手を煩わせず一人でいること」を子どもに押しつけます。寂しさ、悲しさ、不安、疲れ、恐れ、怒りなど、子どもの訴えに耳を傾けることはありません。子どもの身体的なニーズが満たされない場合、健康が損なわれたり、発達が遅れるリスクもあります。ネグレクトされて、親の代わりに衣食住や安全、愛情を与えてくれる大人や家庭を求め、地域を彷徨う「放置児」になる子も少なくありません。放置児は、よその家庭に入り込み、妬みや恨みから問題を起こします。それでも子どもをかまわず、むしろ遠ざけます。自分を縛りつける子どもや家庭を疎ましく感じるのです。
問題を起こさない限りおまえの好きにしろ ただし親より先に幸せになるな
不在型毒親の「毒性」
自己不信・対人不信・回避依存・コミュニケーション障害・消極性・期待感の欠如・感情の平板化・無気力・見捨てられ恐怖
不在型の毒親に育てられたアダルトチルドレン(AC)は人から拒絶されることに慣れているし、耐えることもできます。毒親からの要求を飲めばやさしい言葉やサポートがありました。ただし、それがいつもあると期待したり、信頼したりすれば、裏切られて失望します。ACは、幼い頃から「期待や信頼をしてはいけない」と学びます。
「この親は、助けてくれないし、守ってくれない。自分は誰からも必要とされていないし、愛されてもいない」という事実以上に、失望を重ねないために、何かを求めたり、欲しがることを止めました。仮に、欲しがって手に入ったとしたら、それは「いずれ失う」という恐怖につながります。拒絶に耐えられても、手にしたものを失ったり、手にしたものから見捨てられる、その苦痛は耐えがたいもの。だから、条件付きの愛情と知りながら、毒親の要求に応え続けてしまうのです。
逆に、怖いとき、傷ついたとき、親に抱っこされて「ヨシヨシ」撫でてもらい、恐怖や痛みが解消することを学べずに育ったACは、絆の作り方を知りません。あなたを無条件に受け入れ、いつも変わらぬ真心を示してくれる人が現れたとき、どう応じればいいかわからないのです。その関係は、居心地が悪く、不安でたまりません。皮肉なことに、見返りを要求され、気分しだいで拒絶されるような、子どもの頃から慣れ親しんだ不安定な関係性を無意識に選んでしまうのです。不在型の毒親は、こうしてACの人間関係に影を落とし続けます。
不在型毒親が生まれた理由
[不在型毒親が生まれるパターンその(1)]
両親の不和、もしくは不在がち、あるいは幼い頃から親元を離れ、家族との心の交流のない冷たい家庭環境で育った
[不在型毒親が生まれるパターンその(2)]
規則が多い、厳格な家庭で厳しく育てられ、親に甘えたり、スキンシップを与えられる経験が圧倒的に欠けている(未学習)
[不在型毒親が生まれるパターンその(3)]
勉強やスポーツ、仕事「だけ」をがんばり、優秀な成績を出すことだけを求められ、人間的なふれあいは重視されなかった
[不在型毒親が生まれるパターンその(4)]
家族の借金、失業、病気などで経済的な困窮に陥り、両親もしくは片親が仕事と家族のケアで、重い経済的・時間的負担を課せられた
[不在型毒親が生まれるパターンその(5)]
災害や事故、離婚などで片方の親を失い、残された親がその喪失体験からまったく立ち直れなかった
両親が揃っていても不仲のケースが多く、家族での温かな心の交流がないため、子どもが自分の居場所を見出すことは難しくなります。不在型の毒親は、スキンシップや親密な関係を築くことに抵抗があり、子どもへの接し方がわからない人も少なくありません。
毒親から刻みつけられたマインドと 自分の人生は別のもの
アダルトチルドレン(AC)が世代間連鎖するのは、毒親のマインド(考え方や価値観、行動のパターンなど)が継承されるからです。幼少期からの長きにわたって刷り込まれたため、今ではあたかも自分の考え方や価値観であるかのようにすっかり身に染みついています。「あの親のようには絶対にならない」と強く否定すればするほど、皮肉なことにその価値観を強く意識することになり、そこから自由になれません。
毒親の支配、負の連鎖を断ち切る第一歩は、ただちに「自分の人生は自分のものだと気づく」ことです。これはリアルトレジャーのACカウンセリングで行う「自分を取り戻す5つのステップ」のファーストステップになります。あなたの人生は、親とは無関係に、あなただけのものなのです。
「自分を取り戻す5つのステップ」はこのあと、毒親との距離感や調整、毒親との関係性の理解と続きますが、「自分」という土台ができていなければ、先に進めません。
「自分を取り戻す5つのステップ」については、近日中にブログ記事を公開する予定です。リアルトレジャーのSNSでお知らせしますので、フォローしてお待ちください。
不在型毒親に育てられたACが自分を取り戻すために
トラウマはほとんどのアダルトチルドレン(AC)を苦しめます。ACの場合、長期にくり返し行われることで起こる「複雑系PTSD」であるため、発覚しにくいうえに、理解されにくく、誤解されやすい側面があります。複雑系PTSDは、一般のPTSDとは異なる特徴があり、治療も長引く傾向にあります。
ACの自己奪還には「自分が何者なのか」「生きづらさの正体は何なのか」など、自己をよく知る必要があります。ただし、ネガティブな面ばかりでありません、ACはレジリエンス(立ち直る力)となる強みも携えています。
相手のことを徹底的に考えて、相手に合わせ、イヤでも断れない……気を使いすぎる人はアダルトチルドレン(AC)にもよく見られ、その疲労とストレスはかなりのもの。こんな自分の癖に気づいているのにやめられない、それには理由があります。
[あわせてチェック]
・子ども時代に機能不全家庭で演じていた役割
その役割からどんな影響を受けているのか
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