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勤怠悪化に罪悪感を感じない社員の心に何が起きてるの?≪ラケット感情/交流分析≫


ある会社の人事担当の方から、勤怠悪化が問題になっている社員Aさんのことで相談を受けました。 「何らかの理由(おもに体調不良)をつけて欠勤や遅刻をくりかえすのですが、  そのことにまったく罪悪感を感じておらず、むしろ正当化しようとするんです」 こういう人物の話を聞いたら、十中八九、不真面目な不良社員、ひととき話題にされた「モンスター社員」を思い浮かべると思います。

しかし、それが違うのです。 Aさんは仕事ができる有能な社員で、性格も誠実できわめて品行方正なタイプ、顧客との信頼関係も築けています。ただ、有能な人だけに

「会社としても勤怠問題で評価を下げてしまうことは避けたい。

 このままでは、周囲から『ただの怠け癖』とみられてしまう」

ということで、Aさんにはカウンセリングを受けていただくことになるのですが……。 さて、まじめないい人で、仕事もできるAさんが、なぜ勤怠悪化に対しては自覚がないのでしょう? Aさんのようなパフォーマンスの高い社員は仕事量も多く、繁忙期になれば残業続き。自分の仕事が終われば、周囲に声をかけてほかの社員を手伝ったりもします。 お話をうかがうと、Aさんにとってストレスの原因は、仕事がたくさんあることではなく、「おうちに帰れない」ことがつらいことだということがわかりました。「おうちに帰れない」つらさ・悲しさを誰にも言えなかったのはもちろん、そもそもご自分ですら気づいていませんでした。 これは心理学の交流分析で「ラケット感情」と呼ばれる、自覚のない不快感や不満です。 残業が続いたときのAさんの本物の感情は、「おうちに帰れない」→つらい・悲しいです。それに反して、Aさんは「帰りたいけど帰れる雰囲気じゃない」空気を察して、ニコニコと仲間の仕事を引き受けてあげていました。この「ニコニコ」嘘の感情表現です。ちっともうれしくないわけですから。 ラケット感情には、不快感や不満をポイントカードのように貯めていく、という特徴があります。不快感や不満が一つ生まれるごとに1ポイントずつを貯めていって「よし、ここまで貯まったから換金(=欠勤)してやろう」と、いうわけです。もちろん、自覚はありません。 ほかにも、ラケット感情の特徴として

・くり返し味わう  (Aさんの場合、残業つづきになったとき毎回)

・自由を奪われる  (Aさんの場合、帰れない、「帰りたい」と言えない)

・嘘の感情でカムフラージュされる

 (Aさんの場合、「ニコニコ」)

・非合理的な形で表現され、本来の自分らしさを損なう

 (Aさんの場合、勤怠悪化によって評価を下げる)

などがあります。また、多くの場合、幼少期に身につけるとされます。

ラケット感情の対策は、まず、本物の感情に気づくこと、そして、放置せずに表現することです。おうち(家族・家庭)への思い、「帰りたい」という望み、それが叶わなくて「つらい・悲しい」という感情をケアしてあげれば、もう「欠勤」という不条理な形で表現する必要がなくなります。実際、そうなりました。

もしも、あなたが自分のラケット感情に気づいたら、すでに問題解決へ向かっているといえます。

あなたは、自分の本物の感情に、気づいていますか?

妙なカムフラージュをして無理を重ねていませんか? 不快感のポイントを貯めて問題行動を起こさないように、自分の本音に向き合ってみるといいかもしれません。

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