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メンタルヘルス対策を行なわない企業のリスク

現在、働く人の2人に1人以上が職場でストレスを感じており*1、10社に1社でメンタル不調による休職者・退職者が出ています*2。そのため、6割以上の事業所(300人規模以上の企業では100%)では、メンタルヘルス対策が行われています。

一方、4割弱の事業所では「該当する従業員がいない」「取り組み方がわからない」「必要性を感じない」といった理由から、メンタルヘルス対策に消極的です。もし、メンタルヘルス対策を行わないとすると、企業には何が起こるでしょうか? 大きなもので次の3つリスクがあり、経営上の放置できない問題を引き起こします。

 


1. コンプライアンス違反


厚労省は、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」を開設するなど、情報提供を行なうと同時に、2016年12月から従業員数50名以上の事業所にストレスチェック制度を義務づけました。50名以下でも努力義務があります。メンタル不調者(高ストレス者)には産業医による面談を義務づけ、調査結果では、メンタル不調者の人数、グループ(部署)ごとのメンタルヘルス分析などを報告します。当然ながら、メンタル不調者への対応を怠ったり、誤ったりした場合、企業は安全(健康)配慮義務違反となる恐れもあります。

ストレスチェック制度の目的は、メンタル不調者を出さない職場環境の整備と、職場でのメンタルヘルス対策の定着にあります。メンタルヘルス対策は、企業のリスクマネジメントの一貫として年々、重視されるようになってきています。

2. 従業員個人の不利益

長い期間、ストレスに晒され続けると判断力の低下など、能力が発揮できない状態に陥ります。さらに、[心の健康]を失った結果、個人が受ける最大のダメージは、心の病気を患ってしまうことです。重篤な場合、労災認定を受けるほどの精神疾患に陥り、その数は請求・認定とも年々増加傾向にあります。 厄介なことに、心の病気は進行していることに本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。さらに症状としての「自殺したくなる感情(自殺念慮)」が伴います。 当然ながら、こうした従業員の数が増えてくれば、職場の士気の低下につながり、離職率の上昇、定着率の低下、採用の困難を招きます。

3. 生産性の低下


メンタルヘルス対策をせず、従業員の[心の健康]が損なわれたときの代表的なリスクとして


  • 集中力の低下による業務不効率

  • 判断力低下によるミス、事故の多発

  • コミュニケーション不全によるマンパワーの低下

  • 組織全体の意欲低下

  • 体調不良による長期欠勤

  • 離職率の増加

  • 自殺


などが挙げられます。これだけの原因ができれば、当然、生産性が下がります。そして、その影響は集団にも及びます。「ウツはうつる」と言われるとおり、心の不調は、人から人へと伝わります。

また、能力の高い人材、あるいは管理職の[心の健康]が損なわれた場合、そのダメージはより急速に広がります。そのため、ダメージはより増大します。


メンタルヘルス対策→キャリア支援


こうしたリスクを未然に防ぎ、企業を安定的に成長させていくためにメンタルヘルス対策が行われ、ストレスチェックが義務化されました。さらに現在では、労働者のワーク・エンゲイジメントを向上させ、労働者自らが自分のライフプラン・キャリアプランを設計することで自己実現と人生の充実を促す、従業員のキャリア自律の支援が法制化されています。


2016年4月施工の改正職業能力開発促進法により、企業は従業員のキャリア自律を支援するために、キャリアコンサルティングの機会を社員に提供することが努力義務とされました。2019年4月には、各事業所での職業能力開発計画の作成と実施、職業能力の開発に関する相談と指導などを行う職業能力開発推進者の選任が努力義務となりました。同時に、職業能力開発推進者には、キャリアコンサルタント(国家資格)などの職業能力開発推進者の業務を担当するための必要な能力を有する者からの選任が規定されました。


以前の企業のメンタルヘルス対策やEAPでは、心理カウンセリングやコーチングによる個人への支援が中心でしたが、現在では、キャリアコンサルタントと人事部の協業によって、従業員のキャリア支援を進めることで、経営の健全化が進められています。


従業員のキャリア支援、能力開発、メンタルヘルス対策についてのご相談を承っております。[キャリア支援]のページよりお問い合わせください。


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