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EAP(従業員支援プログラム)の成り立ち


EAPのはじまり

1970年代のアメリカで、従業員が抱える心や人間関係の問題をとりあつかう現在のEAPに近いサービスが生まれました。そして、これに携わっていたコンサルタントらがALMACA(現・国際EAR協会)を創設します。

この背景にあったのは、1940年代から社会問題となっていたアルコールや麻薬の依存症対策でした。現在の日本での「うつ」と同様に、社会問題となっていました。

アルコール依存症や薬物中毒が従業員の心と身体ばかりか、職場の人間関係、さらに家族・夫婦関係を蝕んでいたのです。そのため、アメリカ政府は、アルコール依存研究所、薬物依存研究所を設立。各州にアルコール対策が義務づけられ、産業コンサルタントが配置されたのです。

1980年代、EAPの有用性が認められ、急速に普及するとともに、サービスの内容とケアの幅も広がりました。そして、現在のEAPの形であるメンタルヘルスケアのみならず、人事マネジメントや社会復帰支援までトータルにサポートするプログラムが構築されたのです。現在、アメリカの従業員50人以上の組織ではほぼ100%導入されています。

日本では?

アメリカでEAPで急速に社会に浸透した鍵は、それに先立つ1950年代から心理カウンセリングの普及があります。 アメリカでは、一部を除き、カウンセリングは社会保険が適用されます。

カウンセラーに相談する土壌がすでにありました。そのため、トラブルやストレスが発生すれば、すぐ対処し、心の健康や生産性を回復することが習慣になっていったのです。残念ながら、日本では心理カウンセリングそのものに対して、まだ“心の敷居が高い”のが現状です。 「ちょっとカウンセラーに会いに行く」というわけにはなかなかいきません。

その理由は、アメリカが“個人”が重視される社会であるに対し、日本社会では“組織”を重視されることも一因です。個人的な価値観や嗜好性もありますが、それ以上に、「組織に迷惑をかけられない」という意識が強く働きます。アメリカでは責任の所在が“個人”にありますが、日本では“組織”に降りかかってきます。

だからこそ、従業員一人ひとりが考えるセルフケアとともに組織内で行なわれるラインによるケアが厚生労働省のメンタルヘルスケアの指針に盛り込まれています。 そこに、組織内の専門家がチェックするケア、組織外の専門家が組織の外側からサポートするケアを加えた4つがメンタルヘルス対策の柱として進められています。

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