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ココロの嘆きを吐き出すカラダ

更新日:8月9日

カウンセリングをしていて、ときどき不思議なことが起こることがあります。クライエントの方とお話をしていて、身体症状が現れることがあるのです。

■何が起きてるのか不安になって……


身体症状は、さまざまです。身体の一部に違和感や痛み、張り、かゆみを覚えることもあるし、強烈な眠気に襲われることもあります(もちろん、睡眠不足とか、二日酔いではなく)。そういえば、吐き気は今までなかったかな~。

わたし自身、もともと身体は丈夫ですし、体調は可能なかぎり万全に、トイレも済ませて望んでいます。カウンセラーになりたての頃、初めてこんな体験をしたとき、不安になって、カウンセリングを学んだ母校で担任だった恩師に教育分析を受けました。


■「クライエントさんに尋ねてみたら?」

そのとき恩師にこう言われたのです。

この答えは、目からウロコでした。素直(単純?)なわたしは、さっそくクライエントさんに尋ねることにしています。

ところが先週のある方とのカウンセリング中に、近年まれにみる強烈な身体症状が、わたしに起こりました。

クライエントさんの長きにわたってテーマになっていることを話していたのですが、開始から10分でお腹がキュルキュル言い始めて、差し込みのように痛くなったのです。ちょっと我慢できるレベルを超えたので、断って中座しトイレに駆け込みました。

中座を詫びてから、「これまでのお話の中で、カウンセラーが知っておいたほうがよい、とあなたが思うことはありますか?」と尋ねました。クライエントさんは、ちょっと考えて「とくにないですね」と答えました。それで、これまでのテーマについてのお話を続けてもらってのですが、5分としないうちにまたキュルキュルが……。

もう仕方がありません。再度断って中座しトイレへ駆け込みます。トイレでスッキリしながら、「もしや、何か、腹に据えかねる、吐き出したいことがあるんでは?」と思い当たりました。

■お腹の具合が語りたかったことは?

今度は、カウンセリングルームに戻って、クライエントさんに、今、わたしに起きた身体症状について告白しました。するとクライエントさんが 「実は、今、自分もそんな感じの腹具合で……。  昼に食べたラーメンがだめだったのかな?」 「そうかもしれません。  ただ、もしかしたら、これはわたしの勘のようなものですが、もしかして○○さんに、今日お話しいただいていることとは別に、何か『腹に据えかねる』ようなことはありませんでしたか?」

とお尋ねすると、一枚の書類を出されて

「これです」と。 今日の来談前に、ある商取引の場面で、非常に不快な応対を受けたこと、取引自体も満足いくものでなかったことなどを、お話しになりました。残りの30分でそのお話をじっくりうかがうことができました。 もしかして、お腹キュルキュルがなければ、クライエントさんが押し殺していたお気持ち、本当に吐き出したかった思いに気づけなかったかもしれません。見逃さずに済んで幸いでした。カウンセリングが終わって、クライエントさんもトイレでスッキリなさって、笑顔でお帰りいただけてよかったです。


■身体の声を聴くってこういうこと

なのだと思います。ベタな感じはしますけど。 身体症状はいつも「何か」を語っています。クライエントさんのでも、自分のでも。この「表現」を見逃さないこと、「何が表現されているか」を探ることは、たぶん日常生活でも大切です。

そして、身体症状は、伝わります。その人とまったく同じ症状ではないこともあるでしょう。あなたの身体に何か違和感を感じているとき、もしかしたら、同じ場所で過ごすご家族や同僚の近しい人に何かが起きているかもしれません。

心の嘆きが、こんなふうに身体症状として表現されることは、わりとよくあります。

そして、それは往々にして、問題解決のきっかけになります。

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