アートセラピーで生まれるもの
アートセラピーってどんなことするの? というご質問がありましたので、7/1に平塚で行った「はじめてのアートセラピー~クレヨンで探す『わたしの安全地帯』」での流れを紹介します。
「よくわからないもの」の無限の可能性
輪になっておしゃべりしたあと、ウォーミングアップに各自、個人に分かれて塗り絵。 そのときの気分の色を、クレヨンで1本選んだら左手(左利きの人は右手)で持ってもらいます。 何となく手が動くままに図形を描いたら、クレヨンを利き手に持ち替えて、それを塗りつぶします。 まだこの段階では「よくわからないもの」です。
「よくわからないもの」を机の上にそのまま置き去りにして、みなさんには選んだ色のクレヨンを持って席を離れてもらいます。 それからみんなで「よくわからないもの」を鑑賞します。ゆっくり見て回って、気になった他の人の「よくわからないもの」の席に着席します。 ルールは、元いた自分の席に座らないこと。 そして、誰かサンの「よくわからないもの」に自分のクレヨンで自由にプレゼントを描き加えます。描き加えたら、また席を立って他の席へ移り、自分のクレヨンでプレゼントを描き加えます。 アブレない椅子取りゲームのように、席を変えながらプレゼントを5回くり返せば、アラ不思議! 「よくわからないもの」がハッピーなポップアートに生まれ変わりました。
最初の絵の写真を撮っておかなかったことが悔やまれます。
次はこんなプロセスをペア、そしてグループで体験します。ここではスクイグルという手法を使いました。左手(利き手と逆)にグレーか肌色のクレヨンを持って、一筆書きで手が動くままにぐにゅぐにゅ~っと描きます。 また「よくわからないもの」ができました。 これをペアのお相手と交換して、このなかから何か生き物(架空の生物もOK)に見える部分を探して線や色を描き足していきます。 すると、たくさんのキャラクターが生まれました。
みんなが気持ちよく生きる世界をつくる
今度はペア2組でつくった4~5人のグループに。 今、生まれたキャラクターの中から「いちばん自分に近い」と思うキャラクターになって、わたしが
何歳のどこに住んでるどんな生き物で
今、何をやってる
何が好き
今、どんな気持ち
これから何をやりたい(などなど)
と、自己紹介します。みんなでグループ全員の生き物が安心して暮らせる世界を描いていきます。
「あなたはサカナだから水場が必要ね」 「みんなのんびりしてるから、ほんわかした感じの場所にしたいね」 「あなたのタケノコ、ピラミッドに見えるから、わたしのラクダ、そばにいていい?」 いろんな会話が飛び交う中、3つの世界が創造されました。
世界A 「オアシス」
輝くタケノコのそばでくつろぐラクダ、水辺に一人のクラゲのそばにはバラが咲き、さらにさびしくないようにカエルのメッセンジャーを配置。
遠く(画面では一番手前)からテントウムシが見守っています。
竹藪の成長した竹には短冊が飾られ、さらにキャラクター全員も短冊を持ちました。
みんながやりたいことをやりながら、ちょうどいい距離感を保ち、そして世界共通のシンボル(短冊)を身に着けている世界です。
世界B 「さあ、行くぞう(象?)」
穴から起きてきたニョロニョロ、誕生しようとしている卵の対岸には、ゾウがのんびりお昼寝中。川の中では色鮮やかなサカナが目的地に気づいて、今、旅立とうと泳ぎだしたところです。
サカナ以外の生き物たちもずっとここにいるのではなく、間もなくここから旅立つ日が近いことを知っています。
このあと卵には誕生のヒビが入れられ、ニョロニョロには足が描き足されました。
ゾウの目覚めも近いようです。
世界C 「やまなし(仮)~宮沢賢治」
この世界の住民は「いずれ変わらなければならない」ことは知っているけど、今はここでほんわかしていたい、ということを共有していました。
そこで「ほんわか」のイメージ・色を自由に描き、そこに自分たちのキャラクターがそれぞれ居たい場所に貼り込んでいきました。
中央のバラのキャラクターがエネルギーを、右上の動物が方向性を示し、みんながそれを感じている様子が「クラムボンがかぷかぷわらったよ」で、おなじみの宮沢賢治「やまなし」のような世界になりました。
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「わたし、絵が下手だから」という方がいらっしゃいますが、どのワークでもぐにゃぐにゃ~が基本ですから上手いも下手もありません。
なのに最後は、こんな見応えのある作品になるですから不思議ですね。
◆参加者の方々からこんなご感想をいただきました
とても楽しかったです。絵を描くことで癒されることをはじめて知りました。
同じグループになった方々が優しい方ばかりで、安心してすごせました。
いろいろなお母さん方と話せて、楽しく時間をすごしました。
無心になれて、楽しかったです。
理屈でなく、感じるままに手を動かし、心が解放されました。
一人よりも、仲間と描くほうが楽しくて、好きだということに気づきました。
楽しかったです。また、やりたいです。
悲しい気持ちで会場に行きましたが、帰りには気持ちが楽になっていました。
描いた生物のセリフを書き出したら、自分の本音が飛び出していたので驚きました。
----------------------- わたしも講師として参加して、ステキな時間を共有できることはたいへん楽しくうれしい体験です。童心に帰って絵の世界で遊ぶことで、いつも無意識の中に閉じ込めている自分を安全に解放してあげることができます。グループの人がやさしかったり、仲間で描くのが楽しかったのは、ご自身がやさしくなること楽しくなることに賛成したから。不安も心配も抵抗も罪悪感もなく自由に「遊び」を楽しみ、喜ぶことができるのです。
今回、主催してくださったのは子育ち応援ネット「虹のつばさ」。
子育ち・親育ちを応援する平塚市の市民活動団体で、子育て支援ワークショップや育児に行き詰ったとき、おしゃべりしたり不安をシェアできる「親の会」を定期開催しています。 今後の活動予定はホームページで。
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